- まえがき
- 第1章 子どもがかかえる発達障害とは
- はじめに
- (1) 自閉症
- [自閉症] 例えばこんな人
- (2) アスペルガー症候群
- [アスペルガー症候群] 例えばこんな人
- (3) LD(学習障害)
- [LD] 例えばこんな人
- (4) ADHD(注意欠陥/多動性障害)
- [ADHD] 例えばこんな人
- (5) その他の発達障害
- まとめ
- 第2章 発達障害児が育つ特別支援教育の現場
- (1) 支援の受け方で変わるさまざまな教育形態
- 1) 特別支援学校〜特別支援教育のための専門の学校〜
- 2) 特別支援学級〜ひまわり学級,にこにこ学級?通常の学校の中にあるクラス〜
- 3) 通級による指導〜必要に応じて学ぶクラス〜
- 4) 通常の学級〜ともに学ぶクラス〜
- (2) おさえておきたい発達障害の子どものための指導技法
- 1) 自閉症・アスペルガー症候群の子どもには
- @ 遊戯療法
- A 感覚統合訓練
- B 応用行動分析
- C TEACCHプログラム
- 2) LD(学習障害)・ADHD(注意欠陥/多動性障害)の子どもには
- @ 学習(アカデミック)スキル
- A ソーシャルスキル(SST)
- B その他薬物や行動療法によるアプローチ
- 第3章 発達障害児の自立のために求められる指導
- はじめに
- (1) 発達障害当事者が望む学校教育
- (2) 教師の専門性を高めるために
- 1) 自閉症スペクトラム支援士
- 2) 特別支援教育士(S. E. N. S)
- (3) 保護者・クラスメートへの理解・啓発
- おわりに
- 第4章 発達障害児に特化した進路指導教育
- (1) 米国の個別移行計画(ITP)とは
- 1) 地域に根付いたアセスメント
- 2) 個別就労計画
- (2) わが国の個別移行支援計画とは
- 1) 実際の地域における職種と関連した校内作業種目の選定
- 2) 早期からの職業教育
- 3) さまざまな職種における現場実習先の確保
- 4) ジョブコーチの役割を果たす担任教師
- (3) 将来の社会参加をめざす教育
- 1) 将来に必要なスキルと指導する教師の専門性
- 2) 目的指向型(トップダウン)による教育
- 3) 作業体験を行う
- 4) 地域の情報を知る
- 5) 学校卒業後の教育
- 第5章 【事例】大人になって…
- (1) [LD] 電気部品工場で働くヤスシさん 〜ワイヤーにかかれた番号が読めない!〜
- (2) [LD] 伝票整理の仕事を得たタカシさん 〜大卒の意識を捨てて…〜
- (3) [LD] スーパーで働くヒロシさん 〜「サポートが必要な人」の企業理解がポイント〜
- (4) [LD] 時計製造会社で働くシュウジさん 〜会話ができても文章力がついていけず…〜
- (5) [高機能自閉症] 老人ホームで働くキヨシさん 〜視覚支援の指示書で問題解決〜
- (6) [高機能自閉症] 衣料品販売店で働くトモノリさん 〜敬語が使えない…人間関係のトラブルで〜
- まとめ 今後に望まれる就労後の支援
- コラム ノースカロライナ州におけるアスペルガー症候群・高機能自閉症者に対する就労支援
- あとがき
まえがき
LD・ADHD・アスペルガー症候群等の発達障害児童・生徒に対する教育は,従来健常児のクラスで実施されていました。しかしながら,彼らは知的に問題はなくとも,読み・書き・計算などの学習上の問題や不注意・多動・衝動性といった行動上の問題,そして集団生活がとれないなどの社会性の問題を抱えているため,教室内では変わった子だと思われ,その結果いじめの対象となることがありました。
また,担当する教師も発達障害児に関する知識が十分ではなかったため,ただ単にできないところを叱ったり,保護者にその責任を求めることも多々あったものと思います。
しかしながら,「発達障害者支援法」が平成16年に制定され,教育の分野でも平成19年度から「特別支援教育」が始まり,徐々に発達障害児の理解が高まり,そのための教育方法の検討がなされてきています。
本書では,そういったLD・ADHD・アスペルガー症候群の将来的自立を考慮した学校教育における指導・支援についてまとめました。
教育における第一歩は,その児童・生徒のことをよく知るということです。
本書が彼らの特性を理解し,彼らに合った教育支援を行なう一助となれば著者として幸いです。
最後になりましたが,遅々として進まぬ執筆に対して,長い間辛抱強く対応していただいた明治図書の佐藤さんに心より感謝いたします。
でとても読みやすい本でした。